大人で乳歯が残っている方のマウスピース矯正|八重歯を抜歯せずに悩んでいた20代女性の症例

「大人なのに乳歯がまだ残っているけど、矯正はできるの?」
「乳歯があるとワイヤー矯正しか無理と言われた…」

このような相談で来院される方は、実は少なくありません。

今回ご紹介するのは、八重歯を治したいという主訴で来院された20代女性の症例です。
診査を行ったところ、上顎に乳歯が1本残っている状態であることが分かりました。

将来を見据えた治療計画として、その乳歯を抜歯し、マウスピース矯正のみで歯並びと噛み合わせを改善しています。

治療概要

患者さんのお悩み

  • 八重歯が気になる
  • 噛み合わせが合っていない
  • 他院で「抜歯矯正ならワイヤー矯正が良い」と言われた
  • できれば目立ちにくいマウスピースで治療したい

診断結果

  • 上顎に乳歯が1本残存
  • 歯列のスペース不足
  • 前歯が噛み合っていない状態

治療方法

  • 乳歯を抜歯
  • マウスピース矯正のみで治療
  • 1週間ごとのマウスピース交換
  • 4ヶ月に1回の通院で経過チェック

治療期間

  • 1年2ヶ月

Before / After(八重歯と噛み合わせの変化)

治療前
治療後
治療前の噛み合わせ 前歯が噛んでいない状態
治療後の噛み合わせ 前歯がしっかり噛んでいる
上アゴの歯並び、八重歯が飛び出ている状態
治療後 綺麗に並びました
治療後の口元の印象 思いっきり歯を見せて笑えるようになったと喜んでいただけました
  • 治療前:
     八重歯が歯列から大きく飛び出し、前歯が噛み合っていない状態
  • 治療後:
     歯列がきれいに並び、前歯でしっかり噛める噛み合わせに改善

見た目だけでなく、機能面(噛み合わせ)も大きく改善しています。

大人で乳歯が残っていると、なぜ矯正のチャンスになるのか

「大人で乳歯が残っている=不利」と思われがちですが、矯正治療においてはメリットになることもあります。

乳歯は、

  • 歯のサイズが小さい
  • 将来的に長く使えない可能性がある

といった特徴があります。

そのため、スペース不足が原因の八重歯やガタガタの場合
健康な永久歯を抜くよりも、乳歯を抜歯してスペースを作る方が理にかなっているケースがあります。

今回の症例も、まさにこの考え方で治療計画を立てています。

大人で乳歯が残っている歯並びをマウスピース矯正で治療した例
残っている乳歯を抜歯して、八重歯の歯並びを治療しています

乳歯を抜歯しても、噛み合わせは問題ない?

「乳歯を抜いたら噛み合わせが悪くならないの?」
これはよくある質問です。

結論から言うと、問題ありません。

重要なのは、

  • どの歯を抜くか
  • 抜歯後にどう歯を動かすか

です。

この症例では、乳歯を抜歯した後、マウスピース矯正で歯を適切な位置に移動させることで、
上下の噛み合わせバランスも含めて整えています。

ガタガタが少ない場合は「乳歯を抜いて閉じる」より「歯を補う治療」が良いこともあります

※すべての方にインプラントが必要というわけではありません。

大人で乳歯が残っている場合でも、歯並びのガタガタが少ないケースでは、
必ずしも「乳歯を抜歯してスペースを閉じる治療」が最適とは限りません。

乳歯を抜歯して、そのスペースをすべて矯正で閉じてしまうと、

  • 噛み合わせがずれてしまう
  • 歯の真ん中(正中)が左右どちらかに寄ってしまう
  • 片側だけ歯の本数が少ない噛み合わせになる

といった問題が起こることがあります。

そのため、ガタガタが少ない場合には、
歯並びはマウスピース矯正で整え、
乳歯を抜歯した部分はインプラントで「大人の歯」を回復するという選択が、
長期的に見て安定することもあります。

当院では、

  • 歯並びの乱れの程度
  • 噛み合わせのバランス
  • 正中(真ん中)の位置
  • 将来の歯の寿命

まで含めて総合的に判断し、
「スペースを閉じる治療」と「歯を補う治療」のどちらが良いかをご提案しています。

大人で乳歯が残っている症例。前歯のガタガタはマウスピース矯正で改善し、乳歯を抜歯後にインプラントで大人の歯を回復した治療例
※歯並びの乱れが少ない場合は、矯正で無理にスペースを閉じず、インプラントで歯を補う方が噛み合わせが安定することもあります。

大人の矯正は「今だけ」ではなく「一生」を考える

矯正治療は、歯並びがきれいになれば終わりではありません。

  • どの歯を残すのか
  • 将来トラブルが起きやすい歯はどれか
  • 長期的に安定する噛み合わせか

こうした視点がとても重要です。

今回の症例では、

  • 残存していた乳歯を抜歯
  • 状態の悪かった奥歯には親知らずを移植

といったように、将来も歯を長く使えることを重視した治療計画を立てています。

親知らずの移植

当院では親知らずの有効活用を積極的に行っています。長持ちしない奥歯がある場合、親知らずを矯正治療で移動させる、もしくは移植するなどして将来も長持ちする方法を考え、提案することが多いです。

虫歯などで悪くなっており残すのが難しい歯がある場合に、親知らずがないケースではインプラントを使用して歯を補うことも可能です。例えば以下の症例をご覧ください。

治療後の感想、治療費用

患者さんの感想

コンプレックスだった八重歯が治り、治療して本当によかったです。
乳歯が残っていることは自分では気にしていませんでしたが、
将来のことを考えた提案をしていただけて安心して治療を受けられました。

治療費用

  • マウスピース矯正:88万円(税込)
    (診断料・調整料すべて込み)

リスク

  • マウスピースは決められた時間装着しないと、計画通り歯が動かない可能性があります。

Q&A

Q. 大人で乳歯が残っている場合、矯正は必ず抜歯が必要ですか?

A. 必ずしもすべてのケースで抜歯が必要というわけではありませんが、
歯並びのスペースが足りない場合は、乳歯を抜歯した方が理想的な治療になることが多いです。

乳歯は永久歯に比べてサイズが小さく、将来的に長く使えないこともあるため、
健康な永久歯を抜くよりも、残っている乳歯を抜歯してスペースを確保する方が合理的なケースがあります。

当院では、レントゲン・CT検査をもとに
「抜くべき歯」「残すべき歯」を見極めたうえで治療計画をご提案しています。

Q. 乳歯を抜歯した場合でも、マウスピース矯正だけで治療できますか?

A. はい、症例によってはマウスピース矯正のみで十分に治療可能です。
実際にこのページで紹介している症例も、乳歯を抜歯したうえでワイヤーを使わずマウスピース矯正のみで治療しています。

重要なのは、

  • 抜歯後のスペースをどう使うか
  • 歯をどの順番・方向に動かすか
  • 噛み合わせまで含めて設計できているか

です。

「乳歯がある=ワイヤー矯正しか無理」と言われた方でも、
診断次第ではマウスピース矯正が可能なケースは少なくありません。

Q. 大人で乳歯が残っていて、歯並びのガタガタが少ない場合でも矯正は必要ですか?

A. はい、歯並びの乱れが少ない場合でも、乳歯が残っていることで将来的に噛み合わせや歯の本数のバランスに問題が出ることがあります。

ガタガタが少ないケースで乳歯を抜歯し、そのスペースをすべて矯正で閉じてしまうと、
噛み合わせがずれたり、歯の真ん中(正中)が左右どちらかに寄ってしまうことがあります。

そのため当院では、

  • 歯並びはマウスピース矯正で整える
  • 乳歯を抜歯した部分はインプラントで「大人の歯」として回復する

といったように、歯並びと噛み合わせの両方が長期的に安定する方法をご提案することもあります。

【執筆・監修者】

Mouth Peace 矯正歯科 院長

中村竜三 (歯学博士)

インビザラインドクター

国際口腔インプラント学会認定医

詳しい経歴はこちら